日本における労働環境の変遷と法的背景

 

2022.12 労働環境の変遷

https://youtu.be/oMQsClv815o

我々の働いている環境=労働市場=社会全体での需給調整=変遷
第二次世界大戦後の日本の労働市場の法規整、変遷を辿ります

基本的な原則
                   ↓
雇用契約=私的自治・契約自由原則≠使用者側の採用の自由と解雇規制 中間搾取規制
交渉力≠長時間、低賃金 健康被害を未然に=団体交渉権
労働災害=過失責任法理<使用者の実質的な無過失責任主義
労働者の自救行為≠労働契約上の義務違反・争議行為≠集団的業務阻害行為=違法行為
                   


労働基準法のできた背景
戦前のたこ部屋(鉱山)、納屋制度(炭鉱)、年季奉公(児童労働・憲27)、強制労働
                   ↓
・通貨払い・損害賠償予定禁止・安全衛生・私傷病扶助・年少者就業規制

ルールが必要
    ↓
昭和22年5月3日(日本国憲法施行)
昭和22年9月1日(労働基準法施行)

憲法にある自由権
 
    *18奴隷的拘束、苦役からの自由
*19思想、良心の自由
    *20信教の自由
    *21言論、集会、表現の自由
*22居住・移住の自由 職業選択の自由 企業の営業、採用の自由が保障される*23学問の自由 ≠*26-1教育を受ける権利、26-2義務
*27勤労の権利義務
*民521契約の自由=私的自治
    *28労働基本権 団体交渉権
*12保持責任と濫用の禁止

憲法12条:この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

憲法26-1項:すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
:26-2項*すべて国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。

憲法28:勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体交渉をする権利はこれを保障する。


*1政策義務
国の義務1 
自分の能力、適性を活かした労働の機会が得られるように労働市場を整える。
職業安定法、労働施策推進法、職業能力開発推進法、高年齢者、障碍者雇用促進法、労働者派遣法、雇用保険の雇用安定、能力開発事業

国の義務2 
労働の機会が得られるように労働者の生活を保障すること
雇用保険 求職者支援法

*働かない者の面倒は見る義務はない


雇用保険の失業給付→労働の意思を有する失業者
生活保護法    →生活に困窮する者がその利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用すること


*28労働基本権:団結権≠*21結社の自由(憲法21条)
ユニオンショップ協定=団結しない自由はない=自由(自分本位ではダメ、責任を負う事)
団体交渉権・労働組合法=過半数労働者の選出
・労働基準法・他(民法を含む)
法規整の変遷(へんせん)
⑴ 経済復興過程1945~54
労働市場のインフラ樹立と失業者救済策 1947週48h
終戦に伴い元軍人や引揚者の失業対策、民間職業紹介事業の搾取規制
1948年経済安定9原則実施に伴う大量失業者の発生

⑵ 経済成長始動期1955~60
労働力対策の開始
経済成長とともに技術労働者の不足、職業訓練、労働力需給の不均衡 
石炭産業界の離職者就職援助
広域職業紹介(農村部から大都市への集団就職、出稼ぎ労働)

⑶ 高度経済成長期1961~73
労働力不足化の労働力需給不均衡への対応
1960年所得倍増計画、年10%の経済成長
農村部から大都市への集団就職、出稼ぎ労働がピーク
中高年雇用促進、職業訓練

⑷ 経済調整安定成長の時期1974~90
オイルショック
円高・新興経済圏産業と競争(西陣織工業組合裁判)
1974年失業保険→雇用保険 企業の給付金、助成金支給で雇用の安定化
特定不況業種離職者臨時措置法・雇用地域開発等促進法
1989~バブル景気
外国人労働者の受け入れ≠単純労働者ダメ

⑸ 労働市場の構造的変化への対応1985~90
労働力の中高年化
女性労働者、パートタイム労働者の増加、雇用形態の多様化
60歳以上の定年制、65歳までの継続雇用の努力義務
1985年労働者派遣法制定 1988週46h (失業の輸出/国際批判、前川レポート)
60歳未満の定年制禁止(改正高年齢者雇用安定法第8条)
高年齢雇用継続給付・育児介護休業法


⑹ 雇用失業情勢悪化への対応・規制改革1990~00初頭
1990年代初頭 バブル経済崩壊 1991週44h
1993年 就職氷河期=非正規労働者、フリーターの増加
1997年 アジア通貨危機 週40h
     正社員削減、採用抑制 働きすぎ健康棄損 労災、過労死問題
    サービス残業問題
デフレ・少子化
2001年 ITバブル崩壊=不良債権問題
デフレ経済突入
    2003年 派遣労働1年改め3年 製造業への派遣可能

⑺ 全員参加型社会の推進、労働市場の社会政策
少子高齢化の進行
2003~06 労働力人口減少の見通し=全員参加型社会の推進
若年者等の自立支援・女性の就業促進
2007年 短時間労働者法改正=非正規従業員に対する均衡処遇のルール化
2008年 リーマンショック=派遣切り=雇用調整助成金の拡充
     60h越え割増率引き上げ改正
2012年 労働契約法改正=5年越え有期労働契約→無期労働契約申込権付与
            =不合理な労働条件の違いの禁止
     労働者派遣法改正=短期派遣禁止、違法派遣の派遣先直接雇用申込見做し

⑻ 外部・内部労働市場にわたる雇用システム改革の試み
全員参加型社会の推進→億総活躍社会=労働力の減少抑制
2013年 障害者雇用促進法改正
2014年 雇用保険法改正
        次世代育成支援対策推進法の延長
        過労死等防止対策推進法・労働安全衛生法改正(ストレスチェック)
2015年 女性活躍推進法・青少年雇用推進法の制定
     職業能力開発促進法改正
2016年 外国人技能実習法制定
     出入国管理法改正(在留資格・特定技能の新設)=労働力人口減少の懸念
     民間人材ビジネスの活性化・個人の学び直しの支援・
2018年 働き方改革関連法
同一労働同一賃金→均衡・均等待遇原則の確立
過労死、過労自殺→時間外労働に対する罰則付き上限の設定
    1986
1947-48h
1988-46h    1987-175.9h
1991-44h
1997-40h    1997-158.3h
         2018-142.2h


副業・兼業、ジョブ型雇用の促進策
事業場を異にして労働した一日の労働時間の計算。(労基法38条1) 
使用者がする労働者の副業、兼業先労働時間の把握(S23.5.14基発769号)
同じ事業所内のおける一日のパートタイムの通算(東京地判平18.7.26)
 働き方改革関連法案(2018.6.29成立) 
・過労死等の防止を重視したもの
・時間外労働の上限を罰則付きで規定

 

結果予測の重要性:

病歴によっては、体調の管理が不可欠
意識消失など、重大な事故につながる恐れ
自身の体調と真摯に向き合い、万全の調整をする必要

就業外の時間を自身のケアや研鑽のために使う習慣