危険物事故の教訓と安全対策について

 

https://youtu.be/AmUspC3qHS8

 

2022.6月

令和3年中の危険物に係る事故に関するお話

 

先月まで3回に亘って、振り返りのお話をしました。

仕事は人が関与して行われるものです。

私たちは機械ではありませんから、同じ人がした仕事であっても程度に差が発生します。

気持ちの抑揚によって発生する程度の差が一定水準で保てていることを周りは期待しています。

寒暖差、疲労の具合、プライベートでの出来事など、環境や感情に左右されすぎない心つもりで従事してください。

 

*1トラックの燃料油タンクのキャップ部分から軽油が漏れ出るという事故が発生しています。

環境ISO取得の需要家様に限らず、立ち寄り先に軽油などを滴下して走行することは、危険物を扱うプロである我々であれば特性に十分に留意することで防止出来てしかるべきかと思います。

燃料油キャップのパッキンがあっても軽油の膨張圧力に対して十分ではないことは普段の荷役から容易に想像できます。

帰庫後の常置場所が炎天下であることも鑑みると、冬季よりもやや少なめの量を給油することを推奨します。

 

*2コスモ石油㈱千葉製油所近辺で通勤時間帯の渋滞が激しくなっています。

定修によるものと考えられますが、去る5月24日17:15分頃、接触事故が発生しています。

時間帯によっては著しい通行量が予想されます。

加害車両の前方不注視は避けられないにしても、職業ドライバーである我々は、行動に伴う結果を予測する危険感受力を働かすことで事故を未然に防げるものが多くあります。

わき道からの車両には交互に本線合流をさせるなど、譲り合い、お互い様という気持ちで業務にあたって欲しく思います。

 

*3消防庁から令和3年中の危険物に係る事故に関する資料が通知されました。

PDFファイルにて譲ることも可能です。

印刷物を希望する方は申し出てください。

以下に概要を列記します。

・危険物に係る火災事故について、前年比37件増の224件。うち重大事故は12件である。

・施設別の火災事故発生件数は一般取扱所、製造所、給油取扱所のみで全体の95%に及ぶ。

・重大事故の発生施設は一般取扱所が8件、次いで製造所の4件である。

・危険物が出火原因の火災は49%。うち第4類によるものが92%で第一石油類が55%と最も高い。

・発生原因は人的要因によるもので54%を占める。

・着火原因は静電気火花で22%、次いで過熱着火が12%である。

 

・危険物に係る流出事故について、前年比47件増の422件。うち重大事故は8件である。

・施設別の流出事故発生件数は一般取扱所、給油取扱所、屋外タンク貯蔵所のみで全体の58%に及ぶ。

・重大事故の発生施設は地下タンク貯蔵所及び一般取扱所が最も多く3件、次いで移動タンク貯蔵所及び給油取扱所が1件の順である。

・流出した危険物は第4類が98%を占め、うち第二石油類が37%と高い割合である。

・流出事故の発生原因は物的要因が55%、うち腐食疲労等劣化が65%。

・人的要因による流出事故は35%で、操作不十分によるものが46%を占める。

 

火災事故事例

 

・①車内のゴムシート上に置いたガソリン携行缶にガソリンを注油したところ、流動帯電による静電気スパークで可燃性蒸気に引火したもの。

・②アース接続をせずに、ドラム缶から簡易貯蔵タンクに手動式ドラムポンプを用いて注入を行った。またホース先端部は簡易貯蔵タンクの底に着底しておらず、静電気スパークで可燃性蒸気に引火したと思われるもの。

・③潤滑油を移動タンク貯蔵所に抜き取っていたところ、ポンプ内にあったガソリンと可燃性蒸気に引火、爆発をしたもの。

 

静電気は確かに冬季の乾燥した時期は発生、帯電しやすくなりますが、流動することで発生することは皆さんも知っている通りです。一年を通して制電機能のあるグローブや着衣などの使用、アースの実施をしていることから、リスクは少なくなっていると思えますが、ひとたび着火、爆発となると被害は甚大です。

これを機会に危険物を扱っているという認識を新たに取り扱っていきましょう。