業務上過失と企業の責任についての理解

 

### 業務上過失の定義と社会的評価

業務上過失とは、業務を遂行する上で求められる注意義務を果たさなかったことを指します。具体的には、安全運転義務を怠ったり、適切な教育訓練を施さなかったりすることが該当します。このような過失が発生すると、事故の際に法人としての賠償責任が問われるだけでなく、社会的評価も低下します。

安全運転の徹底は、企業が社会的信頼を維持するためには不可欠です。事故を未然に防ぎ、適切な対策を講じることで、賠償責任を回避し、健全な企業運営を実現することが求められています。また、事故が発生した際、迅速かつ適切な対応を行うことが、社会的評価を守る上で重要です。
事業用自動車の運用においては、運転者だけでなく、企業(使用者)にも責任が発生します。この使用者責任は、不法行為に基づく損害賠償において特に重要です。たとえば、運転者が業務中に交通事故を起こした場合、被害者に対して賠償責任が生じます。この際、運転者が負う責任に加え、企業側も使用者責任として損害賠償を請求されることがあります。
この責任は実質的には無過失責任とされており、帰責原理を備えた危険責任と報償責任の法理に由来します。
そのため、企業は事業用自動車に適切な損害保険を加入させることで、万が一の事故に備えています。損害保険の保険金請求が認められる場合でも、免責金額に関しては企業が負担しなければならないこともありますので、これについても充分な理解が求められます。

平成26年に自動車運転処罰法が施行されましたが、刑法の危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪を独立させた法律で、正式名称を、『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律』といいます。

従来の業務上過失というものが人の身体や生命を侵害する可能性のある危険な行為を反復継続する行為をするのであれば相応の注意を果たさなくてはならない。という考えからきていますので、仕事に限らず、ふだん、買い物に自動車を使用する御婦人にも適用があります。

従来の刑法による業務上過失致死傷罪の量刑は5年以下の懲役若しくは禁固または100万円以下の罰金でしたが、自動車運転処罰法によって過失運転致死傷罪に問われると7年以下の懲役若しくは禁固または100万円以下の罰金になります。

買い物に自動車を使用する御婦人にも適用があるのであれば、職業運転手である我々の注意義務はどれほどの注意義務が求められているのでしょう。

職業運転手に枷を嵌めたように感じるかもしれませんが、被害者が自分の近しい者であってもそう言えるでしょうか?

尚、痛ましい事故であれば、心情で刑罰をも決めたい。そう思うのではないでしょうか?

その気持ちもわかりますが、それを認めると権力のある者の裁量によって如何様にも運用ができてしまいます。

そういった危惧もあっての罪刑法定主義ですから、罪と罰は定めておかなければなりません。

そのような経緯により世論が人権の侵害に対する制裁の厳罰化を望んだ結果、出来た法律という事を理解しておかなければなりません。

常に危険と隣り合わせの職業である我々は、日頃から安全に対する意識を高め、『安全な運行が当たり前である』を実践していくことを求められています。

権利を行使するのであれば当然に義務を負います。

職業運転手として社会的な身分を保障してもらうには、相応の注意義務をもって社会に貢献していかなくてはなりません

配送料無料!といったセールスポイントからも当たり前に享受できる利益だと思われてしまうのか、残念ながら安全な運行のために必要な準備が多岐にわたっている理解が乏しく感じることもありました。

多くのメディアが2024年問題を取り上げたこともあって、幾分状況は改善されたと思われますが、『日頃から安全に対する意識を高め、安全な運行が当たり前である。』ことに変わりはありません。

安全に対する意識を涵養していくことが我々の責務です。

 

事業用自動車による交通事故と損害保険の免責金額について

事業用自動車の運行中に発生する交通事故は、企業にとって深刻な問題です。これに伴う損害賠償や保険の免責金額は、企業経営に与える影響が大きく、正しい理解が求められます。以下では、損害保険に関連する重要な要素について詳しく見ていきます


### 事故翌年度以降の保険料(フリート契約の損害率)

交通事故が発生すると、保険会社は翌年度以降の保険料率を見直すことがあります。事故の発生は、企業のリスクを高める要因となるため、保険料が上昇する可能性(メリット・デメリット率)があるのです。このため、過去の事故の影響は、将来的なコストに直結します。
企業にとっては、事故を未然に防ぐ取り組みだけでなく、事故後のリスク評価にも注力する必要があります。例えば、安全運転の教育や車両管理の改善といった施策を導入することで、事故率を低下させることが、保険料の上昇を抑えることに繋がるからです。

### 売り上げ金額に係る経費と差し引き後の利益

事業用自動車を運用する際には、交通事故によって発生する賠償金や保険の免責金額が、企業の経営にどのような影響を及ぼすかを考慮することが不可欠です。事故によって損害賠償を支払わなければならない場合、それが売り上げに与える影響は計り知れません。
具体的には、事故による賠償金が企業の売上金額から経費として差し引かれ、その結果、利益が圧迫されることがあるためです。こうしたリスクを軽減するためにも、適切な損害保険に加入し、万全の対策を講じることが求められています。

### おわりに

事業用自動車による交通事故に伴う損害保険や免責金額については、企業の成功に影響を及ぼす重要な要素です。不法行為による損害賠償の理解、事故翌年度以降の保険料率の変動、そして売り上げ金額への影響を考慮することで、企業はより健全で持続可能な経営を目指すことができるでしょう。事故を未然に防ぐための努めとリスク管理を通じて、安心して事業を展開する環境を整えることが求められています。 

 

 

2024.04

春暁                                

 

https://youtu.be/09oHOR2V4yE

 いつまでもお布団に潜っていたい。

でも二度寝をすると大遅刻になりますので、気合を入れて起き出す毎日、大変お疲れ様です。

 

働き方改革に伴い、日々の業務に制限の他、付加した価値を求められ、長い目で見れば激動の期間を過ごしてきたと言っても過言ではありません。

 

就職氷河期と呼ばれたS43~S63年生まれの大半がこの会社に在籍しています。

他にやりたいことがあった人もいるかもしれませんが、石の上にも三年。

いつの間にか業界の中堅どころかベテランの域に達した人が多くいます。

 

会社によって特色、特徴があるようにこの業界、会社でも皆に要求しているものが多くあります。

主体的にモノを考え取り組む方が、自分の価値観、考え、ペースに合わせられるので苦痛は少ないかもしれませんが、自分を含め、多くの人は人に強制、強要され、若しくは会社という社会の中のルールに規律されていた方が一々考えなくても済むという点では楽かもしれません。

 

期間の長短に関わらず、考えるという事は少なからずお金についても考える必要が出てきます。

お金の問題は自分の稼ぎに直結をしますが、職場、生活の環境にも影響されています。

社会性がある以上相手があってのこと、「自分一人が頑張ればどうにかなる」と考えていてもまず、想定通りには行きづらい。

 

そうはいっても、人に指示をされ、一定程度の強制力が働けば、人は抵抗をします。

自分の作った環境の方が、居心地が良いからです。

そんな道理の中、働き方改革も相まって、この会社で多くを求められた皆さんと縁あって頑張れたこと、2024年度を迎えられたことに感謝します。

 

さて、職場の環境について、国の基準に基づいて準備を進めてきました。

あくまでも基準ですので、その基準に収まらないこともあろうかと思いますが、その失敗を糧にトライ&エラーという言葉もあります。

今後も誠実に取り組んでいきたいと思います。

 

例年のことではありますが、繁忙期を過ぎたことで、就業環境にいくらかの時間的余裕が出来てきます。

 

気の緩みと言ってしまえば身も蓋もありませんが、繁忙期の緊張した期間をやり切ったころに、春眠暁を覚えずな穏やかな気温、仕事量になっていれば誰でも気は緩みます。

 

ですが、やって当たり前、出来て当たり前、危険物を取り扱う物流のプロとして見られている皆さんには、責められることはあってもなかなか褒めてももらえない。

そんな現状があります。

お仕事だから。給料という対価を得ているんだから。ボランティア、非営利事業ではないのだから。

言われ方は様々でしょうが、こと荷役、物流については厳しい判断がついて回ります。

 

四六時中、緊張をしていなさいとは言えませんし、実際にできません。

業界の中堅どころかベテランに達している皆さんには、注意、集中のしどころがお判りかと思います。

要所要所で、的確な判断、行動を奢ることなく続けて行ってください。

 

年度の始めという事で、これからの季節は充填場でのパトロールに重点が置かれてきます。

繁忙期の事故については寛大な処分が行われることも多いのですが、シーズンオフに入ったこれからの時期は「事故=手抜き」と評価をされることが多くなります。

それが充填時の軽微なミスであってもハインリッヒの法則然り、重大な事故に繋がりかねないと声高々に言われます。

 

そこで、皆も知ってはいると思いますが、各充填場で指摘にあがる注意・喚起事項をここに列挙していきますので、内容を把握し、予防に努めてもらいたく。

 

・顎紐が顔の前にある

・ハーネス装着時のベルト調整が不適切

・指差呼称の声が小さい

・指差呼称の指差時、身体が流れている

・3秒以上の人体除電

・階段の昇降時、手すりに手を置いていない

・ハッチ蓋の開閉が雑である

・浮かせ蓋

・機器の取り扱いが雑である

・流速安定まで、手で押さえていない

・アームを斜めに挿入、べーパー漏れ

・アーム収納時の先端弁閉止確認があいまい

・マグネットシートのよる最終確認が不明瞭

これらは、常に指摘にあがる事項です。

実際に指摘があり、一度事故が起きれば製油所の係員も、事故防止の監視業務が不十分であると叱責されるでしょう。

我々も同様です。

ただでさえ褒められることの少ない我々で、事故=手抜きと判断されるのが常です。

 

パトロールは、自分が一定程度の注意をする事が出来ることを証明する作業である。

     ↓

やって当たり前、出来て当たり前

     ↓

やっていない =(教わっていないとは考えていない)   

     ↓

出来ないとも思っていない =(非協力的と判断される)

     ↓

過失ではなく故意 =(繁忙期ではないので忙しいという抗弁が効かない)

     ↓

ブザー発報、指摘事項の惹起 = (わざと事故を起こそうとしていると捉われかねない)

     

 

事例

1/31 他社で荷積み忘れ

 

この度の、コスモ石油㈱千葉製油所で安全荷役が遂行できていると判断がされ、乗務員遵守事項違反に対する入構停止措置基準が緩和された経緯を思うと、今後、荷役・パトロールに協力的でない者は、安全を軽んじている人なのであるから、入構停止措置基準にない危険な行為をしたときは「火災、爆発などの重大な破損や損害となる行為を行った者」であるとして無期限入構停止になってもおかしくはない。と考えるのが妥当という危機感は持っていた方が無難です。

 

危険に対する認識の違い、温度差が「これぐらいなら」という気持ちで斜め積みを行い、思い込みで重大なエラーを惹起することになります。

 

「このくらいなら」ではなく「自分はプロである」という気概を以って安全走行、荷役に励行していただきたく思います。